ランニングフォームって何?どうして大切なの?
ランニングフォームとは、走るときの体の姿勢や体の動かし方のことです。きれいなフォームで走ると、少ない力で長い距離を速く走れるようになり、疲れにくくなります。それだけでなく、体への負担も少なくなるのでケガもしにくくなるというメリットがあります。また、呼吸がしやすくなったり、ペースを保ちやすくなるなど、走ることがより快適になります。
逆に、体に負担のかかる走り方を続けていると、ひざや腰、足首などに痛みが出てきてしまうことがあります。特に長く走る人や毎日走る人は、フォームが悪いと小さなクセが積み重なって大きなケガにつながることもあります。
「正しいフォームはこれだ!」というひとつの答えがあるように思うかもしれませんが、実はそうではありません。人によって体の大きさ、筋肉の付き方、柔らかさなどが違うので、自分にとって一番走りやすいフォームというのは少しずつ違います。だからこそ、自分に合った、無理なく自然に走れるフォームを見つけることがとても大切です。
正しい姿勢で走るためのポイント
ランニングフォームを整えるには、次のポイントを意識して練習することが役立ちます。小さなことを少しずつ意識するだけでも、だんだん良いフォームに近づいていきます。
姿勢は背すじを伸ばしてまっすぐに
走るときは、頭から腰までがまっすぐにそろっているように意識しましょう。視線は足元ではなく、10〜15メートル先を見るようにすると、自然と背すじが伸びやすくなります。猫背になったり、腰から前に折れるような姿勢になると、呼吸が浅くなって疲れやすくなったり、スピードが出にくくなったりします。あごを引き、首や肩に余計な力が入らないようにすると、姿勢が安定しやすくなります。
腕はリラックスして後ろに引こう
腕を振るときは、肘を約90度に曲げ、リラックスした状態で体の横を通して後ろに引くようにします。腕を前に大きく振りすぎたり、体の前で交差するように振ったりするとバランスが悪くなって走りにくくなります。肩の力を抜いて、軽く握った手で自然なリズムで振ると、全体の動きがスムーズになります。腕の動きが足の動きと連動することで、より効率よく走れるようになります。
足は体の真下でそっと着地しよう
走っているときに足を体の前の方に投げ出して着地してしまうと、着地の衝撃が大きくなって、ひざや腰に強い負担がかかります。できるだけ体の重心の真下で着地するように意識してみましょう。
着地のときは、かかとから強く地面に叩きつけるのではなく、足の裏全体や、前のほう(つま先寄り)を使って、軽く着地するようにすると、衝撃が分散されて足へのダメージが少なくなります。足首は力を抜いてリラックスさせておくのがコツです。
歩数(ピッチ)と歩幅(ストライド)も大切
走るときのテンポ、つまり「歩数(ピッチ)」と「歩幅(ストライド)」もフォームに関係しています。理想とされるのは、1分間に180歩くらいのテンポですが、自分の体に合ったテンポを見つけるのが一番大切です。
走るスピードを上げたいときに歩幅を広げすぎると、フォームが乱れてケガの原因になってしまうことがあります。それよりも、ピッチを少し速くする方が安全にスピードを上げられることもあります。自分のリズムに合ったテンポで走ると、走りが安定しやすくなります。
フォームが崩れるとどうなる?起こりやすいケガとその理由
フォームが悪いと、特定の部位に負担が集中して、次のようなケガの原因になります。
- 足のスネが痛くなる「シンスプリント」
- ひざのまわりが痛くなる「ランナー膝」
- 足の裏が痛む「足底筋膜炎」
猫背のまま走っていると、呼吸がしづらくなるだけでなく、視線が下がってしまい危険に気づきにくくなります。また、腕の振りが左右でアンバランスだったり、動きが小さすぎたり大きすぎたりすると、体全体のバランスが崩れて、腰や股関節に負担がかかることもあります。フォームを見直すことで、これらのケガを防ぐことができます。
フォームをよくするための練習方法
自分の走りを動画で確認しよう
スマホで自分の走っている様子を撮って、あとで見てみましょう。横からの映像では姿勢や着地の位置、後ろからの映像では骨盤のブレや足の向きが確認できます。自分では気づけなかったクセに気づくきっかけになります。
フォームドリルで動きの感覚をつかもう
ランニング前のウォーミングアップとして、ドリルを取り入れてみましょう。ドリルは、正しい動きを体に覚えさせるための練習です。目的を持って行うことで、フォームの改善に役立ちます。
- もも上げ:太ももをしっかり引き上げてリズムよく走る。膝を高く上げる感覚を身につける。
- バットキック:かかとをお尻に近づけるようにして走る。脚を素早く後ろに引く動きを習得。
- スキップ:弾むようにリズムを意識してジャンプしながら走る。全身の連動性と弾力を高める。
これらのドリルは短い距離でも効果的です。正しい姿勢と動きに集中して行いましょう。
筋トレでフォームを支える体を作ろう
フォームをしっかり保つためには筋力が必要です。特に体幹(お腹・背中)やお尻、太ももの筋肉を強くすると、姿勢が安定し、骨盤がブレにくくなります。
- プランク:体をまっすぐに保ってキープするトレーニング。体幹の安定性を高める。
- スクワット:お尻と太ももを鍛える基本トレーニング。地面を蹴る力が強くなります。
- ヒップリフト:仰向けでお尻を持ち上げるトレーニング。骨盤まわりを安定させます。
週に2〜3回、無理のない範囲で続けることが大切です。筋力がつくと、フォームの維持が楽になります。
シューズとフォームの関係も見直そう
ランニングシューズの種類によってもフォームに影響があります。
クッションがしっかりしたシューズは、着地時の衝撃を和らげるので初心者にも向いています。一方、ソールが薄いシューズは、足の筋力が必要ですが自然な足の動きを引き出せるというメリットがあります。
最近話題の厚底シューズは、地面からの反発を得やすく、スピードを出したい人に人気ですが、体への負担も大きくなることがあるので、自分の走り方に合っているかを確認することが必要です。実際に試し履きをしたり、専門店でアドバイスをもらったりするのもおすすめです。
まとめ:フォームを見直して、もっと走りやすく!
ランニングフォームは、見た目を良くするだけでなく、走る効率を上げたり、ケガを防いだりするためにとても重要な要素です。
毎回のランニングで少しずつフォームを意識して走るだけでも、少しずつ改善されていきます。動画を見たり、簡単なドリルや筋トレを取り入れることで、自分のフォームをチェックし、体の使い方を整えていくことができます。
また、部活動やトレーニングの時間に仲間とフォームを見せ合って意識し合うのも効果的です。大事なのは、焦らず少しずつ継続することです。無理のない範囲で、自分に合った正しいフォームを身につけていきましょう。
安全で楽しいランニングライフを送るために、今日からフォーム改善にチャレンジしてみませんか?